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「週間 がん もっといい日」がこの問題の特集を組んでいます。

緊急掲載 クローズ・アップ 朝日新聞の報道―「臨床試験中の癌治療ワクチン」
「患者が“出血”伝えず」に反論相次ぐ

その中から、弁護士の井上清成氏の投稿を紹介します。

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朝日新聞は不当な医療攻撃をやめるべき
―因果関係ないのに有るかのように誤認混同させる報道

弁護士 井上清成

(2010年10月19日 MRIC by 医療ガバナンス学会発行 http://medg.jp)

 2010年10月15日付け朝日新聞(朝刊)トップ記事に、大々的に「臨床試験中のがん治療ワクチン『患者が出血』伝えず 東大医科研、提供先に 医科研『報告義務ない』 法規制なし対応限界」との見出しの記事が掲載された。
「東京大学医科学研究所(東京都港区)が開発したがんペプチドワクチンの臨床試験をめぐり、医科研附属病院で2008年、被験者に起きた消化管出血が『重篤な有害事象』と院内で報告されたのに、医科研が同種のペプチドを提供する他の病院に知らせていなかったことがわかった。
 医科研病院は消化管出血の恐れのある患者を被験者から外したが、他施設の被験者は知らされていなかった。」とのことである。そして、「厚労省は朝日新聞の取材に対し『早急に伝えるべきだ』と調査を始め、9月17日に中村教授らに事情を聴いた」ようだ。

 筆者は東大医科研の代理人でもなければ、顧問でもない。筆者がこの記事を読んだ時点では、何らの予備知識もなかった。そこで、東大医科研ががん治療ワクチンの臨床試験中にその被験者たる患者にそのワクチンとの『因果関係によって』消化管出血を起こさせて重篤な症状を来たさせてしまった(そして、死亡させてしまったのか?)にもかかわらず、外部に何らの情報提供もしなかったらしい、と瞬間的に感じたものである。

 通常一般人がこの種の記事を読んで考える時には、『因果関係のあるやなしや?』『その結果はどうなった?』がその際の暗黙の大前提となってしまう。筆者も同様である。
 しかし、真実は、ワクチンと消化管出血との間には、通常一般の用語(もちろん、法律用語としても。)の意味の『因果関係はなかった』らしい。

 既に東大医科研は2010年6月時点で朝日新聞社に対して、「発生原因としては、原疾患の進行(腫瘍の増悪・圧迫による静脈瘤形成)に伴う出血と判断されました」と説明しているとのことである。一般用語・法律用語上の因果関係は、この件では存在しなかった。 
 もちろん、厳密に医学的・科学的に見たら、ワクチン投与による可能性を「医学的・科学的に完全に」否定することは殆んどの場合で困難に決まっている。ただ、この意味の因果関係は、一般用語・法律用語とは異なった、医学的・科学的用語としての因果関係にすぎない。この2つの意味を、通常一般人に誤認混同させるようなことがあってはならないであろう。

 記事には、「厚労省は朝日新聞の取材に対し『早急に伝えるべきだ』と調査を始め」たともあるが、この部分も不可思議である。厚労省が調査を始めたのは、『もしも因果関係があるとしたならば』早急に伝えるべきなので、『因果関係があるのかどうか』の調査を始めたにすぎないものであろう。

 医科研が「報告義務ない」としたのも、医療的に見て報告する必要がないからこそ報告しなかったのである。「医療的に見て報告する必要があるけれども、たまたま法規制で届出義務がないから、これを奇貨として報告しなかった」わけではあるまい。しかし、記事からはそのように誤認混同されてしまう。
 付け加えれば、その患者はその後の処置で軽快したらしい。

 この朝日新聞の記事は、通常一般人に対し、因果関係がないのに有るかのような誤認混同を与えるものと思われる。結果として、朝日新聞という大マスコミによる不当な医療攻撃がなされたという事態を招いてしまった。

 今後の医療に対する悪影響を深く憂慮せざるをえない。そこで、朝日新聞社において、早急に社内での監査を行い、謝罪した上で記事を撤回することが望まれよう。

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医学的知識のない一般の人があの記事を読めば、やはりこの弁護士と同じ第一印象を持つに違いありません。現に多くの方がそのような印象を持ち、tweeterや2チャンネル上で、東大医科学研や中村教授が犯罪を犯したかのように発信しています。

一面トップに載せ、論説委員の署名記事も載せた朝日新聞は、真摯にこの記事の一件を検証すべきでしょう。朝日新聞は、過去の侵略戦争に協力した経過を、自身の新聞で特集を組んだことがあります。そうしたまっとうな精神がまだ残っていることを期待します。


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