ウィルコ・ジョンソンの選択

ロックのギターリスト、ウィルコ・ジョンソン(65歳)が末期の膵臓がんだと公表し、余命は10ヶ月とか半年とかだとのニュースが流れています。Twitterで「膵臓がん」で検索すると、最近ではウィルコ・ジョンソンの話題ばかりの状況です。先日1月10日からの日本における最終演奏ツアーもすごい盛況だったようです。あいにくと私はロックには興味がないので、彼の演奏も聴いたことがないし、名前も最近知ったばかりです。

私が興味を惹かれたのは、ウィルコ・ジョンソンのマネジャーが「化学療法は受けない。延命治療はしない。残された数か月の人生を意義ある活動に専念していく。ニューアルバムも出します」とFacebookで公表したことです。抗がん剤治療を拒否するにいたった心境を知りたいと思ったのですが、本人からの発言はまだ見当たりません。

2004年に愛妻のアイリーンが大腸がんの告知を受け、わずか4ヶ月後に亡くなっています。そうした経験が影響しているのでしょうか。また、彼は若いころにピッピ-としてインドやネパールを放浪しています。無神論者ですが新約聖書、旧約聖書に精通し、仏教やヒンズー教にも造詣が深いとのことです。そのような下地があって延命治療はしないという選択をしたのでしょう。

末期がんでどのような治療をするか、正解はないと思います。人それぞれの価値観にしたがって選択するしかありません。奇跡的に治癒すること(ほとんどありえない)を期待してつらい抗がん剤治療を続けるのか、治らなくても、副作用がつらくても、1日でも長くこの世に生存したいのか。生活の質(QOL)が大事だから、最後まで清明な意識を保って人生をまっとうしたいのか。副作用が出ない程度の少ない抗がん剤を投与して、がんを騙し騙し共存していくのか。どれが正しくてどれが間違いだということではないと思います。

でも、抗がん剤治療をしないという選択をするには勇気が必要でしょうね。膵臓がんなら茶長さんという方がいました。乳がんなら渡辺容子さんがその闘病記『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』を出版しています。


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ウィルコ・ジョンソンの選択” に対して3件のコメントがあります。

  1. kathy より:

    キノシタさん
    ホスピスは申し込んでも、数ヶ月待ちが当たり前。
    絶対数が足りているとは、とても思えません。
    自民党時代の、老人の長期入院を排除する、保険改革のおかげで、がんに限らず、病気があっても、積極的治療なしに、2週間以上入院することはできないと聞いています。

  2. キノシタ より:

    kathyさん。
    がんの最期をどのように過ごすかは難しい問題ですよね。治療をしないと希望していても、治療しないのなら病院で入院はほとんどの場合難しいでしょう。病院は治療をするところですから。ホスピスといっても、淀川キリスト教病院のような理想的なホスピスに入所できる患者は限られています。それに経済的な負担ができるかどうかも。
    自宅で最期を、と希望していても、介護保険でカバーできない部分も多いから、介護者をどうするのかという問題があります。
    中野孝次も自宅で最期をと望んでいたようですが、老老介護となるので、妻のことを考えてやむなく入院せざるを得なかったようです。
    せめて最期だけでも心配のないような社会であるべきなのでしょうが、麻生太郎のような「いいかげん死にたいと思っても『生きられますから』なんて生かされたんじゃかなわない。しかも政府の金で(高額医療を)やってもらっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」と放言するような政治家が跋扈しているようでは望みはないですね。
    私も転移したら治療はしません。
    余命半年といわれたら、よく考えて調査して万全の準備をするつもりではいるのですが・・・。

  3. kathy より:

    転移時の抗がん剤の問題は、悩ましいですよね。
    数%でも、5年生存の可能性があるなら、副作用に耐えて挑戦するのか。
    医師は可能性がある限り、挑戦すべきといいますが・・・
    ひどいQOLで、数ヶ月という可能性のほうが大きいことを、どう考えるか・・・
    でも、死んだら終わり、セカンドチョイスはない。
    だったら、賭けるという考えもある。。。

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