癌治療学会でFOLFIRINOXの中間解析

10月24日より開催されている第51回日本癌治療学会総会において、FOLFIRINOXのフェースⅡ試験の中間解析が、国立がん研究センター東病院の池田公史氏から発表されたと、「がんナビ」に載っています。

遠隔転移を有する膵癌の1次治療としてのFOLFIRINOX療法は、海外のACCORD II試験の結果と同様、日本人患者においても有効であることが国内フェーズ2試験の中間解析で示された。骨髄抑制に関連する有害事象が高頻度で認められたが管理可能であり、適切な症例選択や治療計画の調整によりFOLFIRINOX療法は転移性膵癌の1次治療になりうることが示唆された。

欧米で行われたフェーズ3のACCORD II試験で、遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対する1次治療としてFOLFIRINOX療法(オキサリプラチン+l-LV+CTP-11+5-FU)がゲムシタビン(GEM) 単独療法に比べて全生存期間(OS)(11.1カ月対6.8カ月)および無増悪生存期間(PFS)(6.4カ月対3.3カ月)を有意に改善することが報告され、現在、転移性膵癌の1次治療として推奨されている。

(本試験での)患者の選択基準は、腺癌または腺扁平上皮癌で、年齢は20-75歳、ECOG PSが0-1、測定可能な遠隔転移を有する(RECIST ver.1.0)こととし、36例の患者背景は、男性24人/女性12人、年齢中央値は61.5歳、PSは0が21例/1が15例、有効性では、完全奏効(CR)/部分奏効(PR)/安定(SD)/進行(PD)がそれぞれ0例/14例/11例/10例だった。RR は38.9%(95%信頼区間:23.1-56.5)、病勢コントロール率(DCR)は69.4%(95%信頼区間:51.9-83.7)。

OS中央値は10.7カ月(同:6.9-13.2)、1年生存率は41.5%(同:24.5-56.8)で、海外のACCORD II試験の結果とほぼ同様とみられた。

全36例中35例が治療を中止した。理由は、増悪27例、有害事象7例、被験者拒否/その他が1例だった。また、後治療のレジメンは、33例のうち28例がGEMを含む治療を受けていた。

以上のことから池田氏は、「日本におけるFOLFIRINOX療法は化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対し、ACCORD II試験と同様の治療効果を示しており、ACCORD II 試験に比べて骨髄抑制に関連する重篤有害事象が高頻度に認められたが、本試験の登録基準を満たすMPC患者に対しては1次治療になり得る」と結んだ。

FOLFIRINOXを一次治療として行うのは、他の抗がん剤で弱った患者には使いにくいからでしょう。その後なら、ゲムシタビン、TS-1と抗がん剤を変えて治療を継続し、延命効果が期待できる。FOLFIRINOXは、PS0か1の患者でないと強力な副作用には耐えられない。「本試験の登録基準を満たすMPC患者に対しては」というのが要注意です。

完全奏功例が1例もないこと、36例中35例が途中で治療を中断しています。その理由として有害事象(副作用)があげられていることも気になります。ゲムシタビンを越える抗がん剤がFOLFIRINOX、アブラキサンと増えることは歓迎ですが、再発の恐れを抱えた膵臓がん患者としては、「もっと効果のある薬が欲しい」が本音です。


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