金スマ 「異端の医師」近藤誠

DSC01588_89_90以前にも撮った場所だが、HDRで撮り直してみた。背景の絵はたぶん十日町市の美人林だろう。


木曜日はチェロのレッスンに自分のチェロを持っていった。車で行ったのでレッスン前の焼酎は断念。休肝日になったのは久しぶりだなぁ。1年ぶりくらいかもしれない。昨夜も休肝日で二日間アルコールを摂らなかったら、調子が悪い。

調子が悪いのは、昨夜のTBSテレビ 金スマの近藤誠氏の番組を見たせいかもしれない。

がん患者の願いは、自分のがんが消えてくれることに尽きる。どんなに末期がんと言われ、余命を宣告されてはいても、「もしかしたら」との思いは消えることはない。そんながん患者がこの番組を見たら、「がんを放置すれば、万が一にも消えてくれるかもしれない」と淡い期待を持つのではなかろうか。

多くは若かりしころの近藤氏の武勇伝の紹介であった。「がんもどき」理論に対する科学的な検証などはなく、唯一勝俣範之医師の『抗がん剤は効かないの罪』から一部が紹介されていただけだった。

一方で、胃がんと食道がんに罹っている患者の、食道がんが消えたことを紹介し、胃がんからの出血には内視鏡で止血することだけを推奨していた。

近藤氏が診た患者150人かの多くが存命しているそうだが、再発した患者は近藤氏のもとから離れていくのではないか。慶応病院に何年勤務したのか知らないが、わずか150名余の患者数とは、少なすぎないか。年間数名の患者ということなのか。

日本で初めて乳房温存術を提唱した近藤氏だが、今ではこの手術すらも不要だというのだが、それに関する説明もない。

放置療法を勧める根拠として近藤氏が持ち出したのがLancetに掲載された論文だが、

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確かに合併症は手術群の方が多いが、(28%対12%)

48 (28%) surgery-group patients had severe morbidity compared with 19 (12%) radiotherapy-group patients (p = 0.0004).

これがどうして何もしない放置療法が良いという根拠になるのか、私には理解不能である。なぜなら5年生存率と無病生存率は手術群、放射線群ともに83%、74%となっているのです。このようなデータを持ってくるとは、近藤氏一流の目くらましあるいは論理のすり替えではないか。

勝俣氏や長尾医師のブログによれば、近藤氏の放置療法を信じて治療を断念し、再発転移してどうにもならなくなってから駆け込んでくる患者が後を絶たないという。そんな実情が番組で紹介されることはなかった。しかし、これなどは近藤氏にいわせれば「それは本物のがんだったんだよ」で済まされてしまうだろう。

前半に放映された、日本初の個人緊急クリニックを開設した上原淳医師の話は興味深かった。24時間体制でどんな患者も拒否しないという。『神様のカルテ』に出てくる病院のようだった。しかし、緊急医療は儲からない。上原先生の月給は20万円だという。生活できないので麻酔医のアルバイトをして生計を立てている。

一方で近藤医師は、セカンドオピニオン外来の患者は「この1年余りで2800件のご相談をお受けしました」とのことだから、一人3万円として年収は8400万円になる。同じ「異端の医師」として取り上げるには、その患者への姿勢、哲学が違いすぎはしないか。(ま、それは営業の自由ですが)

私の膵臓がんも、転移しない「がんもどき」だったし、手術は全くの無駄ということになる。そんな事はないだろうと思うが、近藤理論には反論できない。転移すれば「本物のがん」しなければ「がんもどき」で、後付けでいかようにも説明できるわけだ。反証できない仮説は科学ではない。ポパーは、反証可能性を有しない理論は科学ではなく、エセ科学であるとしている。

「がんもどき」理論はエセ医学である。


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金スマ 「異端の医師」近藤誠” に対して1件のコメントがあります。

  1. こてつ より:

    メディアの無責任なあのような番組は正直犯罪とまでは言わないですが罪は大きいと思います。抗がん剤等の治療で心が折れているときにあの番組で主治医に対して不信感を持つ人も多いでしょう。では近藤氏に診てもらった人の最期はどうだったのか?
    いいとこばかりで編成されています。
    正直、否定はしませんが慶応病院でそのような志を持った治療で他科との連携は厳しかったはず。ならば、個人で診察、治療もしくは大学から離れて治療していても良かったのではないかと思います。慶応病院というブランドは患者側としては大きいですしガンの治療は放射線に限らず緩和ということもついてきます。
    友人は患者でした。もちろん、本人の選択ですし、ただ側にいて色々な思いがあります。本当に最期にはゴテゴテになってしまったような気がします。
    ですから余計にあのような番組の編成のあり方には???中居君とかは一言全てがこのようなわけではありませんと一言番組の終わりに言ってほしかったし言うべきであったと思います。

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