今日の一冊(17)『がんとの賢い戦い方』

先月24日に肝内胆管がんで亡くなった川島なお美さんが、近藤誠氏のセカンドオピニオンを受けていたらしいという記事がありますね。
『川島なお美さん がん闘病で最後にすがった“純金の棒”』

真偽のほどは分かりませんが、半年間も手術を先延ばしにしていたというのが、「どうして?」と腑に落ちませんでした。近藤誠氏のセカンドオピニオンを受けた結果だとしたら、さもありなんということでしょうか。

治りにくさで膵臓がんと一二位を争う肝内胆管がんは、完治が望めるのは手術しかありません。半年間も放置していなかったら、もっと違った結果になった可能性は大きいと思います。夫の鎧塚俊彦氏は「悔やんでいる」と語っています。

その夫の勧めで純金の棒で身体をなぜて「邪気」をとるという「ごしんじょう療法」にも通っていたようです。「貴峰道」のサイトはがんに関連したページは既に削除されていますね。相当アクセスがあるのでしょう。「邪気=過剰な電磁波エネルギー」なんじゃいな? と思うが、近藤誠氏よりは、益もないかわりに害もない。

余談だが、代替療法で「電磁波」「波動」「エネルギー」「遠赤外線」「マイナスイオン」などが出てきたらほぼインチキだと考えてまちがいない。帯津良一氏の「サトルエネルギー」とか。

大場大医師の『がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判』は、半分のページが近藤誠氏への反論で占められている。科学的な根拠を示して、丁寧に、遠慮なく、辛辣に反論している。専門的な話になっているので、一般には難しいかもしれない。

がんとの賢い闘い方 「近藤誠理論」徹底批判 (新潮新書)

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大場 大
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NHKスペシャルで放映されたがんワクチンの番組で、膵臓がんが「消えた」というのがあった。当初は私もずいぶんと期待したものだが、臨床試験の結果、効果は認められないとして試験は中止されました。

抗がん剤に見られる副作用など身体への負担が少なく、月に数回通院して注射をするだけ、「夢の治療法」と呼ばれる、がんワクチン。腫瘍縮小や再発防止など、成果が続々と報告されている。

とするNHKスペシャルの報道姿勢について、「まるで新薬として承認すべきだとの姿勢で報道していた」と批判している。私も『患者に「偽りの希望」を抱かせるような姿勢は改めてほしいものです。』と書いた覚えがある。

巷の免疫療法クリニックの実情についてもページを割いています。膵臓がんの患者さんが自分で探してきて、どうしても受けたいというので紹介したら「がんが進行して何か症状が出たら、また患者を戻して良いか」と確認されたと。この院長の肩書きは有名私立大医学部の名誉教授で海外でのがん研究が認められた「世界的権威の名医」となっているが、臨床の経験が乏しい研究者であったなど。案の定四か月後に患者を戻された時点では手の施しようがなくなっていて、その間の治療費は500万円ほどを請求されたとか。

JR大崎駅辺りにある免疫療法クリニックかもしれないという感じ。

標準治療やEBMに何の問題もないかのような書き方には疑問もありますが、読んでも損ではない本です。

大場大医師のインタビュー記事がこちらにあります。著作の概要を知ることができます。


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