ジャズ・ライブ・レストラン
昨夜は関内駅近くのジャズ・ライブ・レストラン「barbarbar」でジャズと美味しい食事に酒を堪能した。私とS氏、S譲の3人。台風18号の影響次第では無理かと思っていたが、昼過ぎからは青空になり、止まっていた京浜東北線も運転を再開した。ライブは満席の盛況だった。
S氏は同業他社の方で、肺がんステージⅢbのいわば癌友。2010年に私の闘病3年目を記念して目黒のジャズハウスに誘っていただいたことがあり(その記事はこちら)、昨日は彼の5年生存を記念してのお返しのつもり。
S氏は末期の肺がん患者にはとても見えない。肺がんのステージⅢbだったことも最近知ったという。それまではステージⅡだと思い込んでいたそうだ。開腹した医師が「このまま閉じてしまおうか」と迷ったが、「ま、やるだけのことをやってみよう」とのことで、一応手術はできたらしい。リンパ節への転移などすでにあったという。そして今年になって脳への転移が見つかり、ガンマナイフで焼いたという。「いやー、忘れていた生命保険が放射線治療の特約していたので52万円降りてきた。来年もガンマナイフやったら、と妻に言われた」とあっけらかんとして笑っている。
抗がん剤の副作用で頭髪はほとんどないが、肌の色つやも良い。日焼けしていて、ともて末期がん患者には見えない。抗がん剤も何種類かをやってきたが、現在のものは18クールも継続しているという。普通なら耐性ができても良さそうなものだが、腫瘍も、縮小はしないまでも大きくなっておらず、効いている。うまくがんと共存してるようだ。
どうやら彼は死ぬつもりはなさそうだ。いずれはそうなるだろうが、百までは生きるつもりだ。そんな心の有り様が一番がんには効く。彼を見ているとそれが真実だと実感する。
がん患者は、結果ばかりを求めたがる。治るか治らないかは「やってくる」のであり、自分でつくるものではない。がん患者にできることは、治癒へのプロセスに関係することであり、その結果は「成り行き」である。成り行きはコントロールできない。いわゆる「例外的患者」の多くがそうであるように、こうした心の有り様に気づいた患者は、治癒の可能性、延命の可能性が高いといえる。
がんとの闘いばかりに明け暮れしないで、今日の、今このときを濃密に生きる。それが例外的患者になるための王道であると思う。
ジャズのメンバーは、バンドマスターのドラム:八城邦義、ピアノ:二村希一、ベース:江上友彦、トロンボーン:池田雅明、サックス:堤智恵子の、レベルの高いベテランたち。
ベースの江上さんがすばらしかった。つい、左手の運指に見入ってしまった。サックスの堤さんはYouTubeで広く知られているようだ。
2ステージ目の最後の演奏までいたが、久保田早紀の「異邦人」のジャズ演奏は圧巻でした。