今日の一冊(12)『量子コンピューターが本当にすごい』

量子コンピューターはすごいらしい。何がすごいかって、日本のスパコン「京」が年かかる計算を数十秒でやってのけるという。暗号やパスワードなんかも、たちどころに解除してしまうことが可能になる。すでにGoogleやNASAが導入をしたと報じられている。どうやって? と言う疑問に、そもそも「計算」とは何ぞや、コンピューターは何をしているかの疑問から答える。で、この本を読んだら量子コンピューターが分かるかというと、やはりまだ分からない。

しかし、随所に面白い知識をちりばめている。例えばそろばんの元祖算盤(さんばん)は中国で発明された四則演算を行う補助具だが、方程式は解けない。その後算木(さんぎ)[または算籌(さんちゅう)とも言う]が発明されて、多項式も表現できるようになった。因数分解もできた。(昔の人はすごい!)和算家 関孝和も算木を改良して微分方程式を解いていたという。算木は老子にも記述がある。

善く行くものは轍迹なし
善く言うものは瑕謫(かたく)なし
善く数うるものは籌策(ちゅうさく)を用いず
善く閉ずるものは関ケンなくして
開くべからず
(老子第27章)

現在は何かの複雑な計算をさせようとしたらExcelを使うだろう。あるいは関数電卓。私が学生のころは関数電卓などなかった時代で、計算尺が主役だった。そのHEMMIの計算尺がいまでも引き出しに収まっている。もう使い方も忘れてしまったが。

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現在の関数電卓はCASIOの2種類。左のfx-993ESは数年前に買ったもので、それまで30年ほど使っていたのが壊れたので買い換えた。右のfx-98は、カードタイプの関数電卓で、1984年製である。これも30年使っているがまだ現役である。

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カードタイプの関数電卓は、製造はしておらず入手が困難な超希少価値のついた品であり、海外のオークションサイトでは500~1000ドルの値がついている。1ドル120円なら6円~12万円。ま、結構重宝しているので売るつもりはない。

で、量子コンピューターとは、

量子コンピュータとは、量子力学の原理を情報処理に応用するコンピュータ。極微細な素粒子の世界で見られる状態の重ね合わせを利用して、超並列的に計算を実行するコンピュータである。
原子の内部構造のような極めて微細なスケールの世界は、物体に働く古典力学とは原理の異なる量子力学が支配している。素粒子の状態を表す属性は、複数の状態が同時に実現している「重ね合わせ」という状態にある。これを「量子ビット」(qubit:quantum bit)と呼ばれる情報の表現として利用することにより、並列的な計算を実現するというのが量子コンピュータの基本的な原理である。

だそうです。まだよく分からないが、今のコンピュータの原理もブラックボックスであっても使っているわけで、分からなくても利用すればよい。

現在、抗がん剤の開発など創薬研究にはスーパーコンピュータが使われています。例えば児玉龍彦教授のこちらのインタビュー記事。

副作用のないがん治療に挑む! ――「進行がん」の細胞を狙い撃ちし、薬をピンポイントで投与する

抗がん剤などの候補になる低分子化合物を、スパコンの能力を駆使して短期間かつ低コストで開発するという試みです。量子コンピューターが普及すれば、開発の質とスピードがもっと進むはずです。実現すれば、年間の治療費が1200万円などという免疫チェックポイント阻害剤も、ずっと廉価に開発できるのではないだろうか。がん患者としてはそうした将来を期待したい。


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今日の一冊(12)『量子コンピューターが本当にすごい』” に対して1件のコメントがあります。

  1. 丸山篤史 より:

    拙著をご紹介いただき、ありがとうございます。
    お楽しみいただけたのでしたら幸いです。

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