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今日の一冊(45)『輪廻する宇宙』

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ブルーバックスと輪廻。なんとも変な取り合わせです。仏教の六道輪廻の話にはじまり、ダライ・ラマの転生へと進むんです。

オチをばらしてしまえば、最先端の宇宙論では、我々が住むこの宇宙も輪廻転生して、また宇宙のインフレーションを経てビックバンから新しい宇宙に生まれ変わっていくというのである。

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その鍵を握っているのは「ダークエネルギー」。この宇宙を構成している、我々が通常”物質”と呼んでいるものは5%にすぎず、ダークマター(暗黒物質)が25%、ダークエネルギーが70%を占めているという。なんだ、人類は宇宙のことのわずかに5%しか知らないのだ。

ま、これらを書いているとしつこくて小難しくなるからやめておいて、ともかく、速度を上げながら膨張している我々の宇宙は、その最期には均一になるのだが、量子ゆらぎによるトンネル効果(ここは深く追求しない!)によって、また、インフレーション時代を経てビッグバンから新たな新しい命を持った宇宙に生まれ変わるのだという。これがある程度支持されている現代の宇宙理論らしい。

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そのときには、さまざまなタイプの宇宙が生成され、中には今の我々の宇宙と同じような宇宙も存在するのかもしれない。別の物理法則が支配する宇宙もあるかもしれないという。超ひも理論によれば、この宇宙は4次元ではなく、実際は10次元であり、残りの6次元は折りたたまれて我々の目には見えないのだという。

量子力学の困った問題を解決するための仮説として「多世界解釈」がある。これは宇宙の終焉で新しい宇宙に生まれ変わるまで待たないで、今この時点、時々刻々この世界は分岐して無数の別の宇宙が同時に存在するのだという解釈である。この世界は瞬間毎に分岐していくたくさんの世界から構成されているのだ。なんともごまかされているような気がするが、こう解釈しないことには量子力学の観察問題が解決できないのだと。

むかし「良寛さんと多元宇宙論」にそのようなことを書いたこともある。

がんで死んだらどうなるんだろう。私という存在がなくなっても魂は残るのだろうか? なんてことも、宇宙そのものがなくなるのだから、魂だけが残ったって仕方がない。新しく生まれ変わった宇宙には、前の記憶はなんにも残っていないのだから。

一方で多世界解釈によれば、膵臓がんになった私とは別に、すぐ隣の別の宇宙では膵臓がんにならなかった私がいるという可能性がある。無数の私が存在しているのだが、連絡の取りようがないし、お願いだから今の私と入れ替わってよと頼むわけにもいかない。

良寛さんにこんな歌があります。

沫雪(あわゆき)の中にたちたる三千大千世界(みちあふち)
またその中に沫雪ぞ降る

三千大千世界とは、仏教における宇宙論を表わす言葉です。

良寛さんの歌は、一粒の雪の中に10億の小世界が見えている、その10億の世界のそれぞれにまた沫雪が降っている。更にその沫雪の中にも10億の小世界があり、その中にもまた沫雪が降っている・・・と、幾重にも重なり合ってどこまでも続いています。また、いま見ている沫雪の降っているこの世界も、さらに大きな沫雪の中に含まれている、その世界もまた更に大きな沫雪に・・・・。こうして大きい方にも幾重にも世界が重なっている。何とも壮大な歌ではないですか。

現在の新しい宇宙理論が、やっと良寛さんに追いついてきた? そんな気がしないでもない。

著者がダライ・ラマに「死後の世界」や「輪廻転生」について訊こうとしたのだが、ダライ・ラマは、

わたしたちがいかに生きるか、ということの方がずっと大切なのであり、死後の世界のことを考えるなんてことはヒマな人に任せておけばよいのです

と言ったそうな。

予後は何ヶ月だろうなんてことはヒマな人に任せて、今日のこの日を精いっぱい生きることのほうが大切だと思うよ。

 
 

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