期待の膵臓癌治療-ナノナイフ
8月の記事『今日の一冊(54) 期待の膵臓がん治療』で紹介した本を入手して読み終わりました。ナノナイフについて、メリットもデメリットも良く取材して書かれています。
前回の記事で言い尽くした感がありますが、何点か追加すると、
ナノナイフ治療が適用になる条件
- 遠隔転移や腹膜播種がない「切除不能の局所進行膵臓がん」
つまりステージ4aの血管に絡みついて切除できない膵がん。 - PSがPS0,PS1である。全身状態が良い患者
です。これまで手術不可であった4a、4bのうち、4aの患者を救えないかという話です。
- 保険適用になっていないので、全額自費になる。(臨床試験もあるが敷居が高い)目安として欧米では100~150万円とのこと。
- 3~4ヶ月は抗がん剤治療をして、目に見えないがん細胞を叩いてからナノナイフを実施する。
- 延命効果は、抗がん剤と比較して約2倍の24ヶ月。完治するわけではない。(アメリカでは5年以上生存して「完治」と見做される例もあるが)
- 2016年6月までの実績は、東京医科大学病院=8例、山王病院=24例
実施している病院は、
- 順和会 山王病院 ナノナイフ外来
東京都港区赤坂8-10-16 電話03-3402-3151
森安史典医師が定年でここに移動した - 東京医科大学病院 消化器内科外来 (医師主導治験)
東京都新宿区西新宿6-7-1 電話03-3342-6111
ナノナイフではステージ4aの膵がんの治療できますが、膵がんの場合は局所にあると思われても、実際には目に見えないがん細胞が広がっている場合が多い。そのために、ナノナイフで局所のがん細胞を殺しても、再発・転移する例が多いのです。
これは重粒子線や陽子線でも同じことです。膵臓がんが難治性がんだと言われる所以です。