エビデンスだけでがん治療ができるのか?(7)

Web交流会のご案内


【日 時】2020年12月12日(土) 13:00~16:00(開場:12:45)
【場 所】Zoomを使ったオンラインの集まりです
【対 象】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参加費】500円 (PayPal決済、郵便振替)
【定 員】100名
【内 容】
第一部 がん研有明病院 腫瘍精神科部長 清水研先生の講演
『もしも一年後、この世にいないとしたら ~4000人の患者家族と対話した精神科医の学び~』
第二部 患者さん同士の交流会

ウェブ会議ツール「Zoom」を使ったWeb交流会となります。
スマホだけで簡単に参加することができます。

参加申込受付中です。 詳しくはオフィシャルサイトで


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NBM(Narrative-based Medicineとは

前回の記事で次のような引用を紹介しました。

医学は「物語」を必要としません。
医療における医者の役割は、医学の知識を用いて、患者さんと相談しながら治療を行っていくことであると私は考えています。患者さんはもちろんそれぞれの「物語」を抱えています。これを無視して医学的な論理だけで治療を行ってもうまくいくわけがありません。

ここで言う「物語」とは、NBMで使われる言葉です。EBM(Evidence-based Medicine 根拠に基づいた医療)に対してNBM(Narrative-based Medicine 物語に基づいた医療)が提唱されています。「ナラティブ」は「物語」ですね。

NBMとはどういうものなのでしょうか。斎藤清二氏の『医療におけるナラティブとエビデンス(科学的な根拠)』には次のように定義されています。

医療におけるナラティブとエビデンス 改訂版──対立から調和へ

医療におけるナラティブとエビデンス 改訂版──対立から調和へ

斎藤 清二
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NBMは、 患者が主観的に体験する物語』を全面的に尊重し,医療者と患者との対話を通じて,新しい物語を共同構成していくことを重視する医療である。

もう少し詳しく表現すると,病いを患者の人生という大きな物語の中で展開する一つ物語であるとみなし,患者を 物語を語る主体として尊重する方で,医学的な疾患概念や治療法もあくまでもつの医療者側の物語と捉え,さらに治療とは両者の物語をすり合わせる中から新たな物語を創り出していくプロセ スである,と考えるような医療」ということになる。

そして、NBMのアプローチの特徴は、

  1. 「患者の病いと「病いに対する患者の対処行動」者の人生と生活世界における,より大きな物語ので展開する「物語」であるとみなす
  2. 患者を,物語の語り手として,また,物語における対象ではなく「主体」として尊重する。同時に,自身の病いをどう定義し,それにどう対応しそれをどう形っていくかについての患自身の役割を,最大限に重要視す
  3. つの問題や経験が複数の物(説明)を生みすことを認め,「唯の真実の出来事」という慨念は役に立たないことを認め
  4. 本質的に非線形的なアブローチであるすなわち,全ての物事を,先行する予測可能な「一つの原因づくものとは考えずむしろ,複数の行動や文脈の複雑な相互交流から浮かび上がってくもの,とみなす
  5. 治療者と患者の聞で取り交わされる(あるいは演じられる )対話を治療の要な部であるとみなす

としています。

EBMでは「この抗がん剤を投与すれば、生存期間中央値が3ヶ月延びる」と考えるのに対してNBMでは、「私のおじさんも膵臓がんで、この抗がん剤をやったけど、3ヶ月で、あれよあれよという間に亡くなったんだよね。私も同じようになるのだろうか?」という患者の「物語」を重視するのです。また患者は病の物語だけを生きているわけではない、人生という物語の中で、非常に重要な病の物語として、今ここに立ち現れていると考えるのです。

NBMは,医療の物語も複数あっていと考えその中で役に立つものを選んでいけば良く,正しいものがあるわけではないという考方を採用する。NBM 療における復数の理論や考えを全て「それつの物語である」見なし,多元性を尊重する。

そして、エビデンス(科学的な根拠)の存在しない病状の患者に対しても、物語を相互に付き合わせることで、治療の継続が可能となるのです。

平たく言えば、患者の「先生、こんなことで困っています。こう考えるのですかいかがでしょうか」という物語に対して、「なるほど、そうですか。しかし、私から見ると、あなたはこうした状態だから、こんな風にしたらどうですか、いやなら別の方法もありますし、決してそれで見放すことはありませんよ」と医療者の物語があり、患者も「ああ、それはいいかもしれませんね。それでしばらくやってみましょうか」となるでしょうか。

EBMも、こうした患者との対話を重視していますが、あくまでも「治療のための対話」であり、「対話」が治療であるとの意識が乏しい。NBMももちろんエビデンス(科学的な根拠)を無視するわけではないが、それに縛られることはないとの考え方です。

実際の実地医療は、NBMのアプローチで回っているのではないでしょうか。

アンドルー・ワイル(エセ治療家との酷評もあるが)は次の言葉は核心を突いているように思う。

「患者さんに・・・ある方法を試してみて、それが有効であることに気づいたなら、もうそれ以上患者さんに対して効果を証明する必要はありません。治療の有効性を確かめてもらうために、医学雑誌を見せて無作為二重盲検試験の論文を読んでもらう必要などないのです。」


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