膵臓がんが治るために必要なこと
「がんの王様」と言われ、予後の厳しい膵臓がんですが、なかには5年、10年と生存され、がんと共存している、あるいは完治している方もいます。
この人たちに共通していることは何でしょうか? それが膵臓がんが治るための秘訣なのかもしれません。
長期生存例
ARISUさん
ステージⅣbでリンパ節転移もあり、余命1年を宣告されたARISUさん。「ARISUの連絡帳」
通常の3倍という40回のFOLFIRINOXに耐えて、がんが縮小して手術ができるようになった。4年半経った現在、治療はせずに経過観察中。
愛犬のミニーちゃんと二人住まいです。元気玉キャッチャーを作って配布したり、多肉植物を育てることに夢中になっています。
私がナゼ・・こんなにも前向きに、毎日が楽しぃ~♪なのかお話して
闘病中の方や、それを支える家族の方が
コイツ(ARISU)でも出来るんなら、私たちも頑張るよ~ん・・っと
チョッとでいいから励みにして頂けたらと思っています。
ぴのこさん
『ぴのこのすい臓がん生き残り?ジュリーと自然とともに♡』のぴのこさん。2008年9月にステージⅣaと診断され、手術の結果ではステージⅢ。まもなく10年になります。
ジュリーのステージを追っかけ、鳥の写真を撮ることが趣味です。
ビオさんの旦那さん
『膵臓癌余命1ヶ月から6年目 風の道標』のビオさんのだんなさん。ステージⅣaでリンパ節への転移あり。余命一ヶ月を告知され、手術をしました。肺への転移もあるが、まもなく6年目になります。オリゴメタではないかと推測しています。
自分のがんのことにはほとんど関心がなく、バイクや将棋に夢中です。そのぶん、ビオさんがリンパマッサージをしたり、キノコ類を料理したりと献身的にサポートしています。
本当にうらやましいくらいに仲の良いご夫婦です。旦那さん、世界一の幸せ者です。
私ーキノシタ
ま、自分のことは書きづらいから、このブログを読んでください。
その他の例
押川勝太郎先生も、膵臓がんが再発しても完治した例を2例くらい経験しているそうです。60歳台の女性の方は、毎週抗がん剤を投与して104回で完治した。治ったのは良いが、「毎日退屈でしょうがない・・・」と贅沢な悩みをいう。
がんを治すことが目標になってしまって、治ったら目指すべきものがなくなったのでしょうか。
これらの膵臓がん患者の例からは、完治するためには手術ができることが必要だと言えますね。でも中には、手術できなくても奇跡的に治ることもあるのです。
バーニー・シーゲルの『奇跡的治癒とはなにか―外科医が学んだ生還者たちの難病克服の秘訣』には、次の一節があります。
もはや何の治療にも反応しなくなった末期の膵臓がん患者、フィリスは、家に帰って死を待つばかりだった。数ヶ月後、彼女は診察室に現われ、私の同僚の医師が診察した。彼は診察室のドアを開けて私を呼んだ。「バーニー、ちょっときてみたまえ」
私が入っていくと彼は言った。「がんが消えたんだよ」
「フィリス、いったいどうしたの?」と私は訊いた。
「先生ならおわかりでしょう」
「そりゃあ、わかっていますよ。しかし他の人にも教えてやりたいからね。」
フィリスは答えた。「私は百歳まで生きることに決めて、なにもかも神様にお委せしたんです」
治るための共通点
彦根市立病院緩和ケア科部長・黒丸尊治医師も千人以上の患者さんを診てきて、末期癌が消えてしまったり、進行が止まってしまったりする患者を何人も経験し、「末期がんが消えてしまうということはしばしば起こることとは言えないまでも、決して起こりえないようなことでもありません。自分の体験からしても、一般的に考えられているよりもはるかに多い頻度で起こり得るものだと思っています」と述べています。
ぴのこさんも「3年以上の人には共通点があるように思う」と書かれています。私が考える、膵臓がんが治るための共通点は次のようなものです。
- 手術ができること。
もちろん例外もあって、手術ができなくても長期に元気な方もいる。手術ができない場合は、ARISUさんのように、治療でがんが縮小して手術ができるように(ダウンステージング)なることをめざす。 - がんで死ぬ覚悟ができている。
これ、なにも「達観している」ということではなくても、「どうせ人は死ぬんだし、なるようになるしかないよね」と、ひまげにしているのでも良いのです。 - しかし、統計にしたがって死ぬつもりもない。
統計的に言えば、死ぬ確率は高いよね。ただし、私は統計データではないから、それに従うつもりはない、とも考えている。 - がんであっても人生を謳歌している。
- がんを治すことが人生の目的ではない。
がんを治すのは、その後の人生を満たされた時間として過ごすためでしょう。だから、がんを治すのは手段であって目的ではありません。だったら、今、満たされた時間を過ごすようにすれば、その目的は達成されるのですから、がんが治ったと「等価」です。
また、シュレベールは「免疫細胞は、客観的に見て、より”生きる価値”があるように見える人生を送っている人間の体内では、それだけ活発に動くかのように見える」と述べています。 - コントロールできないことには悩まない。
自分の力で影響を与えることができることに集中し、自分の影響範囲の外にあることは、成り行きに任せる。 - やるべきこと、できることをやったなら、あとは神様(仏でも天でも良いが)にお任せする。
つまり、精神的な面、心のありように共通点があるように思うのです。
マイケル・ラフは『癌が消えた』で次のように言っています。
心理的力は小さく弱いため、癌による「併合」に影響を与えることはできないという従来の見方と違って、心ー体のつながりはミクロの世界で、そこは勝利は強い方へ行くだけではなく、頭のいい方へ行くという世界、情報が力である世界だ。
脳には感情と結びついている分子のレセプターが多くある。この分子は最終的に病気に対する前線となる。免疫細胞は体中を回る間に脳と交信して、報告をし、指示をもらい、別の体の現場へ公式声明をもって急行し、傷を治す処置をする。
驚異的回復が示しているのは、ある一定状況のもとでは、癌は突破できない砦というよりは、情報の突風の前に震えるもろいトランプの家のようなものであるということだ。
免疫の仕組みはまだまだ分からないことばかりですが、免疫系にスイッチが入ると例外的患者にもなり得るのです。
高価な自由診療の免疫療法などなくても、治り、共存することができるのです。
一日中、がんのことばかりを考えていては治りません。
誰もが、既に、治るための条件を備えている。
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