大往生なんか、せんでもええやん!

治らないがん患者に、いずれ訪れる末期になったらどうするかという選択。
「もう治療法がありません」と言われ、胃瘻(いろう)をつけて放り出されることになる。
随分前だが、「クローズアップ現代」では『人生の最期 どう迎える? ~岐路に立つ延命医療~』では胃ろうを処置された患者の延命医療の問題を扱っていた。
脳梗塞の患者の「連れて帰って!」と筆談で書いた映像には身につまされた。ETV特集でも『食べなくても生きられる ~胃ろうの功と罪~』が昨年放映されたことがある。
私は末期がんになったら在宅ターミナルケアを望んでいる。しかし、それが必ずしもかなえられるとは限らないと不安もある。
在宅ターミナルケアの現状はどうか。使える制度は? 費用は? 救急時にはどうすれば良いのか? これらの疑問に答えてくれるのが、尼崎市のさくらいクリニック院長 桜井隆先生の著書『大往生なんか、せんでもええやん! (介護ライブラリー)』だ。
第一部は自宅で最期を迎えた3人の患者のエピソード。末期がんでも念願の墓参りを九州まで飛行機で行って成し遂げたしずばあさん。
第二部は、具体的な手続きや知っておくべきことが書かれている。在宅ターミナルケアの条件では、
- 帰宅・在宅を希望する本人の意思
- 往診(訪問診療)する医師(在宅医)
- 医療、看護、介護の24時間サポート
- 痛みのコントロール
- 家族の了解、支援
をあげている。しかし、「なぜ家に帰るのに条件がいるのか」と疑問をぶつける。
結論から言うと、私は定まった条件なんて何も必要ないと思っている。誰でも帰れるし、「なぜ家に帰るのに条件がいるのか」という気持ちが強い。家に帰りたいのであれば、思い切って帰ればいい。もともと住んでいたところに帰るというだけのこと。たとえば、あなたが仕事や用事を終えて帰宅の途につくのに、何か条件があるだろうか。それと同じで、人生という仕事を終え、家に帰るだけだ。
軸足を病院から家に変えて考えなさい。そのための障害は、周囲の助けを借りて解決すれば良いときっぱいりと断言してくれる。人生を終えて「死」を迎えるために家に帰るのだから、必要なのは最後の医師の死亡診断書だけだ。ほかの条件など何も必要ない。
最近はインターネットで検索して、本人から直接ターミナルケアの依頼も来るそうだ。そのような時代になったということか。

10年余り実の母の介護している。主治医は、桜井先生ですでも自宅で介護をするには、経済的問題と何より介護する側が持病持ちでないという条件をクリアしてないと最悪の事態も想定しとかないといけないという事をこれまで経験した事にもとずいて書いておきます。