科学・哲学
「ゆらぎ」を認めてこそ、個別化医療が成り立つ
医学は科学です。しかし、医学の対象とする人体は複雑系の代表であり、その行動は「非線形」に振る舞う。
したがって、医学を学問として捉えた場合、その方法論は「非線形」でなくてはならないはずです。
しかし、物理学でさえも「非線形」の扱いが始まったばかりなのに、その高次な応用科学である医学が、非線形の方法論を取り入れることは、ほどんど不可能でしょう。
その反面、医療は太古の昔から経験則に基づいた複雑系として扱われており、医療は元々非線形なのであり、医療の中に「ゆらぎ」を認めてこそ成り立ってきたのです。それが「さじ加減」と呼ばれ、そうした行為を太古から「医療」と呼び習わしてきただけのことなのです。
良寛と多元宇宙論
量子力学におけるシュレーディンガーの猫の問題を解決するための仮説として、エベレットの「多世界解釈」というものがあります。そのひとつの多元宇宙論(マルチバース)が、初期宇宙や宇宙の誕生を研究している科学者のあいだではかなり知られるようになっているのです。それは最新の宇宙論として注目されている「ブレーン宇宙モデル」が、 マルチバースの存在を予言しているからです。
10の200乗個の一つである私たちの宇宙には、銀河が2000億個以上有り、一つの銀河は100兆個の星々で構成され、その一つである太陽の第三惑星に私たちは住んでいる。何とちっぽけな存在だろう。良寛さんは沫雪(あわゆき)の中に多重宇宙を見たが、実際にもこの宇宙は(11次元から見て)「泡」の膜であったとは。