今日の一冊(24) 澤田瞳子『若冲』

スポンサーリンク
LINEで送る
Pocket

若冲 (文春文庫)

若冲 (文春文庫)

瞳子, 澤田
770円(10/21 04:44時点)
発売日: 2017/04/07
Amazonの情報を掲載しています

伊藤若冲は、江戸時代中期の京にて活躍した絵師。若冲と腹違いの妹お志乃、それに義弟の弁蔵を中心に物語は展開する。弁蔵の姉お三輪は、若冲に嫁いだ2年後に自害するのだが、それを障害恨みに思い、若冲の贋作を描くことで恨みを晴らそうとする。生きるとは何か? 憎しみの中からも美しい絵が創作されうるのかを描ききっている。著者の澤田瞳子さんはまだお若いのに、史実を詳細に調査し、登場する庶民の生活を生き生きと描いている。

「若冲」とは『老子道徳教』第45章の「大盈(たいえい)は沖(むな)しきが若く」から採られている。意味は「大いに充実しているものは、空っぽのようにみえる」である。

Ajisaisoukei_zu

この絵では、紫陽花の葉は虫に食われ、枯れかけている。命が終わろうとしている。決してきれいな紫陽花を描いてはいない。仲睦まじげな雌雄の鶏も、雌はなにやら拒絶しているようにも見え、そんな雌の態度に、羽を逆立て片足をあげて怒っている。新しい命を生むための発情期なのか。仲睦まじげな夫婦の間にも緊張感がある。

生命のダイナミクスと多様性、輝いている命とやがて死んでいく命が細部にまで克明に描かれていている。

生命とは何か―複雑系生命科学へ

生命とは何か―複雑系生命科学へ

金子 邦彦
4,180円(10/21 04:44時点)
発売日: 2009/02/01
Amazonの情報を掲載しています

金子邦彦の『生命とは何か―複雑系生命科学へ』の表紙には若冲の「樹花鳥獣図屏風」の一部が使われている。生命の秘密を、がんも含めて「複雑系」として解き明かそうとする意欲作であった。この本の表紙を飾るにふさわしい画家だろう。

「生の輝きは、絶望の淵の底より仰ぎ見てこそ、最も眩しく映る」

弁蔵が言う。「若冲さんの絵は、美しいがゆえに醜く、醜いがゆえに美しい。そないな人の心によう似てますのや」

そうかもしれないと、思う。


がんと闘う多くの仲間がいます。

にほんブログ村 病気ブログ すい臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

このブログの関連記事

  • 久しぶりの散歩写真久しぶりの散歩写真 足のしびれや腰の痛みがなくなったのですが、梅雨の時期であまり散歩写真が撮れていません。 久しぶりにGR3を持って散歩写真です。 気持ちよさげに […]
  • ウコン、ターメリック、クルクミン 今朝は全粒パンに目玉焼き、野菜にはバージンオリーブ油の食事。 全粒パンはBoulangerie […]
  • アベノミクスのバブル崩壊アベノミクスのバブル崩壊 5月31日付でローンの借り換えをしました。アベノミクスによるいかさま景気など続くはずがないのだからと、ゴールデンウィーク中に借り換えを決断して準備を開始。その途中でいきなり株価の […]
  • 膵がん診療ガイドライン2019の解説:第3版膵がん診療ガイドライン2019の解説:第3版 「膵がん診療ガイドライン2019」の一般向けの解説書が(やっと)出版されます。 8月11日ですから、現在予約受付中です。 「膵癌診療ガイドライン […]
  • 桜坂桜坂 福山雅治が切なく唄う「桜坂」~2000年に発売され、売上げ200万枚を超える大ヒット曲となりました。そのモデルとなった場所が大田区田園調布本町の桜坂です。歌がヒットして以来、ホッ […]
  • がんを公表した34歳のカメラマンがんを公表した34歳のカメラマン 34歳で余命3ヵ月から半年と告げられた写真家の幡野広志さん。ブログでがんを公表し、Twitterでも発信を続けています。 そんな幡野さんのインタビュー記事があります […]
  • 重大ニュースが目白押し重大ニュースが目白押し 次々に重大なニュースが報じられるので、ブログに考えを書く時間もないほどだ。だから今日はまとめてだ!。 […]
  • がんと霊(スピリット)、奇跡的治癒 確か長尾先生の『抗がん剤 […]
LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です