拾った命だから、のんびり生きる

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「拾った命だから、のんびり生きる」。

このタイトルは2006年にあるところへ書いたものだ。

そして、膵臓がんの手術までの検査まで、死を覚悟しながら、今の生き方でよい。このまま普通に生きていくだけ。焦らず、諦めず、必要以上に頑張らず。と思った。

直腸がんで、日本記録の保持者

半年ぶりの定期検査を先月末受診した。大腸の内視鏡検査だ。その結果を主治医の先生から聞くための診察日だった。「まったく問題なし。この次の検査は一年後でい いね」とうれしいお話。

1999年の末に直腸にガンが見つかり、翌2000年1月に手術で切除した。肛門から5センチのところにできたガンで、通常なら肛門に近すぎるので、括約筋なども切除して永久に人工肛門になる症例だといわれた。

しかし主治医の寺本先生の勧めで新しい手術方法を選択した。おかげで半年ほどは人工肛門での不便を強いられたが、再度腸の接合手術をして、今では人工肛門ではなく自分の肛門を使用している。

こう書くとたいしたことではないみたいだが、人工肛門は使った経験のない人にはその不便さ、かゆさが分からないだろう。寝てるあいだに剥がれて何度寝具を捨てたことか。自分の肛門からウンチが出たときのあの感動は、今思い出しても涙が出る。

寺本先生からは「日本での新記録です。つまり肛門から5センチの直腸手術で人工肛門でないのはあなたが初めてです」といわれたものだ。ガンになったのは不運だが、寺本先生の手術を受けられたのは幸運だということだ。

こうしてもう手術後6年になる。5年経てば一応ガンは完治だといわれているから、安心してよいだろう。昨日アフラックの医療保険にも堂々と加入手続きができた。

命拾いしたのはこれで二度目ということになる。二十歳のころ交通事故で奇跡的に一命をとりとめたことがある。そのときは『せっかく拾った命だから、立派な人生を送ろう』と決意したものだ。これまでの人生はその決意に恥じないものだったと自分では思っている。

そして五十歳でガンになり、また命を拾った。

そしてこう思った。『せっかく拾った命だから、のんびり生きよう』と。

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この文章を書いて、すぐに膵臓がんが見つかった。2度目のがんである。

そして、こう考えた。

老子だってこう言っているではないか。『人の先に立とうとするな』と。人の欲は果てしがない。

しかし「もうこれで十分だ」という気になれば、人生をあくせくせずに、命の根底に至る人生に変えることもできようではないか。それに気付くことが「タオ」が分かるということに違いない。

もうひとつ
天と地のむこうの道(タオ)につながる自分が有る。
そういう自分にもどれば
人に嘲(あざ)けられたって褒められたって
ふふんという顔ができる。
社会から蹴落(けおと)されるのは
怖いかもしれないけれど、
タオから見れば
社会だって変わってゆく。だから
大きなタオの働きを少しでも感じれば
くよくよしなくなるんだ。
たかの知れた自分だけど
社会だって
たかの知れた社会なんだ。

加島祥造「タオにつながる」より。

二度も命拾いをしたうえに、命を大切に生きる=タオに生きる ことまで教えられたんだから、がんになるのも悪いものじゃないなぁ。

幸い膵臓がんも完治した今は、与えられて命だから、

『生かされるままに 生きよう』

と感じている。


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