EPA/DHA摂取でがんの生存率向上
がんは炎症作用を利用して増殖する
生物は傷ついた組織を修復する能力を持っています。その中心メカニズムが”炎症作用”です。
ところが、がんはこの修復メカニズムを利用して、自らの成長を支えるために炎症を引き起こそうとします。胃癌におけるピロリ菌のように、慢性的な炎症状態ががんの直接的な原因となっているがんも多いのです。
がんは、サイトカインなどの炎症性因子を放出し、免疫システムを乗っ取ることによって自ら増殖し、体内に蔓延していきます。 がんの進行において炎症が重要な役割を果たしているので、がんの治療や予防においては、炎症をコントロールすることが予後を左右することになります。
先日の記事ではマインドフルネス瞑想を行うことによって、炎症性サイトカインであるインターロイキン6が減少することが示されたという研究を紹介しました。
食事と運動も同様に大切です。
膵臓がんとオメガ3(EPA/DHA)
食習慣とサプリメントの摂取状況を、膵臓がん患者532人と背景をマッチさせたがんのない1701人との症例対照研究があります。
栄養素ごとに摂取量に応じて4段階にわけ、摂取の最も少ない群におけるすい臓がんの割合を1.0としたとき、摂取の最も多い群におけるすい臓がんの割合を調べた研究です。その結果は、
- 8つの飽和脂肪酸の摂取が多いと膵臓がんの割合が1.6~2.6倍になる
- 単価不飽和脂肪酸のパルミトレイン酸では1.6倍、同じくオレイン酸では1.4倍、多価不飽和脂肪酸のリノレン酸では1.5倍になる
- 逆に、オメガ3不飽和脂肪酸を850mg/日以上摂取すると、0.47倍に半減する
- gatolic酸では、0.68倍
- ビタミンCの摂取が多いと0.69倍
- ビタミンEは0.67倍に
オメガ3(EPA)の摂取量が多いほど、がんの王様と言われる膵臓がんのリスクが低くなるのです。
国立がん研究センターの発表で、青魚やウナギを多く摂っている人は肝臓がんのリスクが4割低いとの前向きコホート研究結果がありました。
魚で肝臓がんリスク4割低下 脂肪酸の抗炎症作用か
青魚やウナギなどをよく食べる人は、あまり食べない人に比べて肝臓がんになるリスクが約4割低下するとの研究結果を、国立がん研究センターが7日発表した。魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)などの不飽和脂肪酸を多く取っているグループほどリスクが低下。
肝臓がんの多くはB型、C型肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎を経て発症する。同センターの沢田典絵研究員は「DHAなどの不飽和脂肪酸には抗炎症作用があり、肝炎ががんに移行するのを抑えているのではないか」と話している。
調査は岩手など9府県の45~74歳の男女約9万人を、1995年から最長2008年まで追跡。
詳細は国立がん研究センター予防研究部のこちらのページにあります。
こちらの報道も同じ傾向です。
魚油成分 生存率に効果 伊賀市立病院チーム
地方紙の記事ですが、改めてEPA(オメガ3)の癌に対する効果が確認されています。
魚油成分(EPA=エイコサペンタエン酸、DHA=ドコサヘキサエン酸)を含む市販の栄養剤を毎日摂取したところ、治療効果が上がったとする内容。生存率向上にもつながる。
がん悪液質の患者でも栄養剤を摂取した人の生存率が向上したという。
EPA/DHAの抗がん効果はすでに実証済みです。
EPAの配合量が多い機能性表示食品「さかな暮らし」がお薦めです。1ヶ月あたりで2,800円と、財布にも優しいです。
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