膵癌術後の補助化学療法、日本は変らず

今年のASCO2016で、膵癌術後の補助化学療法として、ゲムシタビンとカペシタビン(ジェムザール+ゼローダ)が生存期間を有意に伸びたとの発表があった。

ASCO 2016 GEMとゼローダの併用で膵癌術後の生存率が向上 ← こちらの記事

現在日本ではTS-1が標準となっているが、それが変るのだろうかと気になっていた。

「日経メディカル オンコロジー」に杏林大学腫瘍内科教授 古瀬 純司氏が寄稿し、

ESPAC4試験で膵癌術後補助療法の欧米での標準が変更へ、
日本は変わらず 日本ではJASPAC 01試験の結果からS-1のまま

 ただし、日本は異なります。日本で行われたフェーズ3試験JASPAC 01試験の結果がLancet誌に6月2日に掲載されました。JASPAC-01試験は日本の33施設、385人を対象に膵癌の術後補助療法として、ゲムシタビンとS-1を比較した試験です。試験の結果、死亡についてのハザード比が0.57(95%信頼区間:0.44-0.72)、p<0.0001で有意にS-1投与が有効でした。5年生存率はゲムシタビン群が24.4%、S-1群が44.4%でした。この結果から日本での術後補助化学療法の標準治療はS-1になっています。また、OS中央値はゲムシタビン群が25.5カ月で、ESPAC-4試験と同じですが、S-1群が46.5カ月です。

異なる試験で患者背景に異なる部分もありますが、生存期間、生存率、ハザード比というデータを見るかぎり、S-1の方が良好な結果です。両試験で等しく使われているゲムシタビンを基準にしてもS-1の方が良いと思います。ESPAC-04の結果を受けても、現在の日本の標準治療はS-1で変わりません。今回のESPAC4の結果から、カペシタビンを公知申請のような形で導入する必要があるかというと、急がないと日本人に不利益になるということはないと思います。欧米の標準治療がゲムシタビン+カペシタビンになって、さらに工夫をして新たな試験を開始し、そこに日本が参加するということになれば、世界共通で使えるものとして準備するという意味はあるのかもしれません。

と述べている。

今回のESPAC-4試験はTS-1との比較ではないので、この考えで妥当だろうと思います。


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膵癌術後の補助化学療法、日本は変らず” に対して10件のコメントがあります。

  1. mari より:

    実は、手足が不自由なためベットで寝たきりになってしまうのが、心配で。
    でも、斎浦先生の技術で頑張ろうと思います。
    キノシタ様、ありがとうございます。

  2. mari より:

    キノシタ様、
     本当にありがとうございます。本人も家族も迷っており、特に私の意見が
    影響してしまうので慎重になってしまいます。
    腎機能がわるく、術後の化学療法、S1の内服などできなそうで、ジェムザールも減量になるかもしれません。術後の再発が怖くて調べていると、大阪府立成人病院が術中の内視鏡などの
    技術で確実に切除したり肝臓へ直接抗がん剤を流すことで、再発率をおさえているとのことでした。(5年生存率が50%)
    抗がん剤があまり使えない状態では、再発を防ぐには、そういったことをしなければいけない気持ちがしてきました。
    また、アブラキサンチンなど術前化学療法をして、考えてる時間をもってからは、などと考えてしまいます。
    私がフラフラして、父に迷惑をかけそうです。
    何を選んでもくいが残りそうで困ってしまいます。
    内科の先生は、化学療法で、外科の先生は切除できるとおっしゃられ
    本当迷います。

  3. キノシタ より:

    mariさん
    手術ができるというのは、数少ない幸運なんですよ。
    もちろん手術しても再発の高いリスクはあります。しかし、手術しなければもっと高い確率で短い時間で死にいたります。
    手術ができれば、わずかですが完治の可能性があります。手術しなければ完治の可能性はゼロです。
    多くの膵臓がん患者にとって、手術できるようになることが生き残るための希望となっているのです。
    再発の可能性が高いからといって手術しないのは、もっとリスクの高い方を選ぶことになりましませんか。
    選択するのは患者本人でしょうが、最悪を想像して最善を尽くすべきではないでしょうか。

  4. MARI より:

    キノシタ様 何回もすみません。斎浦先生にお会いすることができ、キノシタ様のおかげです。
            しかし、手術ができるといっていただきましたが、受けるか本当に迷ってます。
            やはり高い再発率が怖いです。やはり勇気をもて手術ですかね。

  5. MARI より:

    キノシタ様
    大変お世話になっております。先日は
    ご親切に膵癌に関して、先生や病気について教えていただき、本当にありがとうございました。
    一つご質問したいのですが、個人情報になってしまい、
    大変恐縮なのですが、メールで質問させていただくことは、
    可能でしょうか?>_<
    治療については、私が決めなければいけませんが、
    一つ教えていただきたく、本当に恐縮ですが、できましたら、よろしくお願いいたします。
    膵癌カフェにも、伺いたいのですが、それまで間に合わず、
    何卒よろしくお願いいたします。 mari.A

  6. 浅香真理子 より:

    ありがとうございます!
    優先順位は、速さですね!
    そこが一番の悩みどこでした。
    ある程度、手術件数がある病院であれば、お任せしたいと思います。
    親身になって考えていただき、本当にありがとうございます! 浅香

  7. キノシタ より:

    浅香真理子さま。
    「若き神の手」などと週刊誌で報じられたので、齋浦先生の手術は2~3ヶ月待ちのようです。
    幸運にも手術適用となった場合は、部下の先生の執刀でも早くしたほうがよろしいと思います。
    3ヶ月待っている間に、いざそのときになったら「できません」となる患者もいるのです。膵臓がんは増殖の速度が速いからです。
    手術可の診断が出るよう幸運を祈っています。

  8. 浅香真理子 より:

    キノシタ様、
    本当にご親切にありがとうございます!返信もすぐしていただき、
    とても感謝です!
    ぜひ、問い合わせてみます。
    抗がん剤だと、ジェムザールくらいで、アブラキサンも難しいといわれやはり手術に挑戦してほしいと考えています。
    ブログも大切に拝見されていただきます。これからも何卒よろしくお願いいたします。 浅香

  9. キノシタ より:

    朝香様
    手術可能かもしれないとは、嬉しいですね。手術ができれば完治も夢ではありません。
    私はがん研有明で、主治医は齋浦先生でした。
    他にも積極的に手術に臨まれる病院としては、千葉大学病院の宮崎勝医師らがいますね。
    これらの先生なら、他の病院では難しい場合でもチャレンジしてくれるかもしれません。
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/46769?page=5


    こちら↓の記事へコメントを書かれているとおり、松沢さんも他の病院では不可能だと言われたのですが、がん研有明で手術ができました。

    良い結果になることを願っています。

  10. 浅香 真理子 より:

    はじめまして。
    大変ためになる情報ばかりで、とても感謝しています。
    父が膵癌になり、頭が真っ白になり、何も手につかず、
    にすごしているところ、ブログをみているときだけ
    前向きな気持ちになれます。
    死生観もとても感銘を受けました。
    このような方だからこそ、乗り越えられたのだな、と思います。
    ありがとうございます。
    いま、治療を模索中で
    なんとか、最善の方法はないものか、藁にもすがる気持ちで探しています。いまは、手術も可能かも
    しれず、手術のできる先生、病院を
    探しています。
    手術が受けられて、ご成功されていらっしゃるとお聞きし、できましたら、大変恐縮なのですが、先生や病院を教えていただくことは、可能でしょうか。
    突然のメールで
    大変申し訳なく思っております。
    何卒よろしくお願いいたします。
    浅香

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