ルカパリブで膵臓がんが縮小

PARP阻害薬ルカパリブが、BRCA1/2、またはPALB2遺伝子変異を有する膵臓がん患者に対して有効だとの第2相臨床試験の結果がでました。

「海外がん医療情報リファレンス」と「オンコロ」で紹介されています。

PARP阻害薬は、細胞の増殖に必要な DNA の修復を妨げることで細胞死を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬です。DNA 修復やアポトーシス(細胞死)に関与している PARP(ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ)という物質を阻害することによって、がん細胞をアポトーシスに導きます。

図のようにDNA一本鎖切断に結合したPARP自体にADPリボースが付加重合され、枝が伸びていきこれに塩基除去修復を担うタンパクを結合して連れてくるのである。これが繰り返されることにより、効率的にDNA一本鎖切断が修復される。つまり、PARPはDNA一本鎖切断修復を行う塩基除去修復を連れてくる運び屋として働くのである。

今回の研究は、進行性膵癌患者に対する維持療法として、ルカパリブの単独療法の有効性と安全性を検証した第2相臨床試験です。

評価可能であった42人の患者における結果は、

  • 主要評価項目である6ヶ月無増悪生存率(PFS)59.5%
  • 無増悪生存期間(PFS)中央値は13.1ヶ月
  • 全生存期間(OS)中央値は23.5ヶ月
  • 客観的奏効率(ORR)41.7%
  • 病勢コントロール率(DCR)66.7%
  • 奏効持続期間(DOR)中央値は17.3ヶ月

ルカパリブは、米国では前立腺癌再発卵巣が卵管がんなどの特定の患者に維持療法として承認されていますが、膵臓がんへの適用はありません。

ニュースリリース

BRCA1/2、またはPALB2遺伝子変異を有する膵臓がん患者にとって、ルカパリブは奏効を持続できるのみならず腫瘍を縮小させる、また場合によっては、完全奏効に達する可能性もある安全な選択肢です

大学のニュースリリースによると、「本試験のデータ締め切り時点で、8人の患者が生存中で、ルカパリブの投与開始から2年以上続いている追跡調査の対象であり、そのうち4人が無増悪でした。完全奏効を示した患者3人中2人は1年以上経過した現在も生存しています」。

とのことです。

この研究は医師主導型の臨床試験です。日本においてもこうした医師主導型の膵臓がんに対する臨床試験が増えて欲しいものですが、そのためには研究資金の確保が必要です。

本来は国の予算で研究費をつけるべきなのでしょうが期待はできません。クラウドファンディングなど研究者と市民が手を組んだ活動が必要でしょう。

同じPARP阻害薬のオラパリブ(リムパーザ)は、すでに膵臓がんに対して国内でも拡大適用が承認されております。

膵臓がんに対して打つ手は、まだたくさんあるはずです。


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